こんにちは。
森岡正博さん著書「草食系男子の恋愛学」の簡単な内容と、僕の感想のレビューをまとめていきます。
哲学の思想がベースにある著者の、恋愛経験の少ない男性に向けた助言は、役立つ部分がいくつもありました。
目次
作者、森岡正博さんとは?
作者の森岡さんは、早稲田大学の教授であり、哲学者。生命学などの研究もしています。
この本の中で、そこまで深い哲学や、特別難しい話は出てきませんが、ベースに彼の哲学思想が入っていることは感じられます。
恋愛に関しては、決してモテる学生生活ではなかったとのこと。
私が若いころ、好きな女性にデートを申し込んでも、常にフラれていた。
(中略)
中学・高校のときにもデートをしたことはなく、思春期に身近にいた女性は母親だけであった。
大学生になって、合コンにたびたび行くのだが、女の子と話が盛り上がることは決してなく、いつも最後は男たちだけで飲みに行くのであった。__著書より
そこから彼が伝えているのは、たくさんの女性からモテる方法ではなく、好きな女性から振り向いてもらえるようになるためのヒント。
地味かもしれませんが、哲学思想をベースにした彼の「昔の自分のように悩んでいる若者にこれが届くように」と丁寧に伝えている文章は、参考になる部分がいくつもあります。
本書の良かった部分
この本で一番感じたことは「女性に対しての優しさ」。
女性の性質や大変さを理解し、その上で誠実さをもって関わっていこうという姿勢が随所にみられます。
具体的に挙げていきますね。
1.ボディタッチへの危惧
まず、「モテる男性」の前に「安全な男性」になることを勧めています。
世のモテ本が、女性への安全さをあまり話題にしていないことを危惧し、こう書いています。
女性が恋愛をするときには、安全を守られ、安心し、リラックスできることが、このうえなく大切なのだ。
これらのことは、男にとって、大きな盲点になりがちである。
女性の意に反することなく、女性の手を握り、キスをするもっとも安全なやり方を書いておきたい。
それは、男の身体の一部に女性が触れてくるのを待つというやり方である。
僕の推奨教材の、城咲仁さんの「今からモテにいくぞ!」にも、同じことが書いてあります。
相手との距離がよく分からない時に手を繋いだりするのは危険で、彼女のほうから「繋ぎたい」と言うような場合に限定すべきだと。
恋愛教材の多くは、「ボディタッチを有効利用しよう」とあるのですが、それは一歩間違うと痴漢。
女性に不快な思いをさせます。
その意味で、森岡先生の指南も、とても誠実で女性思い。
僕は、できうる限り誠実な恋愛ノウハウを提供したいので、その意味でこの本は素晴らしいと思っています。
2.女性の話に耳を傾ける
森岡先生は、上手に話を聞くための3つの基本を挙げています。
・尋問のようなインタビューをしない(質問するのはOK)
・分析・解決法提示・否定的なことを言わない
女性との会話に慣れている人にとっては、ごく基本的なことですが、こういう基本を押さえておくのは大事なこと。
ここを無視して、その他テクニックに走っても、基本が押さえられていないので失敗することが多い。
中級レベル以上のやり方は出てこないので、特別モテはしませんが、「ここは知っておこう」というポイントは書かれています。
もちろん、なんでもかんでも肯定的に聞き続けるのが良いということではなく、女性側の要望が度を越している時は、はっきり口にする大事さも指摘しています。
まずは丁寧に楽しく話をし、相手の話を受け止め、その上で不当に感じることはちゃんと話し合う。
これが良いバランスということ。
3.女性の身体への配慮
女性の生理や妊娠、出産のリスクに関しても、ページを割いてしっかり考察されています。
女性作者の恋愛本だと、割と書かれているのですが、男性の、しかも大学の先生がここについて、しっかり思いやりを持って書かれている著書は、かなりレア。
生理に対する辛さや不快感に対する配慮。
そして男性と違い、女性にとって恋愛と妊娠は地続きだから、男性はちゃんと想像してみようという指南がされています。
そのために、夜の暗い場所には当面行かないこと、性行為に抵抗のある女性とどう付き合うべきかなど、具体例も交えているので、かなり分かりやすい。
4.女性を理想化しすぎない
恋愛経験の少ない男性がつい陥りがちな、偏った女性像が2つあります。
それは「女性を性的な対象にしすぎる」ことと、「女性を理想化しすぎる」こと。
もちろん、どちらも女性に求めるものですが、そこに偏っていると、女性との関係は上手くいきづらい。
男性向けの恋愛漫画では、学校一の美女が冴えない男子と恋をするストーリーがありますね。
そこで生まれるような上下関係を実際にやってしまったら、ほぼほぼ上手くいきません。
森本先生は、その点の危惧もしています。
男性が恋しているのは理想化されたイメージのほうであって、ここにいる「生身の自分」のほうではないということを、ありありと分かるから、そのような勘違いをする男性に興味が持てなくなってしまう。
(中略)
大切なのは、好きな女性のことを、欠点もイヤなところも持った、自分と対等な一人の「生身の人間」として見ていくことだ。
恋愛は人生の中でロマンがあるジャンルですが、だからといってメルヘンな思考を現実に持ち出し過ぎないのが良いのでしょう。
足りなかった部分
続いては、「この本だけでは不足しているな」と感じた部分。
1.「草食系男子」というよりは「オクテ男子」に書かれている
ネット辞書によると「草食系男子」とは「恋愛や異性関係に対して執着の薄い男性」と定義されています。
この本は、そういう「恋愛に興味ないよ」という意味の草食ではありません。
恋愛に悩み、つらい気持ちをかかえている優しい男性たちに向かって、私はこの本を書いていきたい。
というように、「恋愛に悩んでいる奥手の優しい男性」という意味での「草食系男子」です。
まずここは、誤解が無ければと思います。
2.周りに女性がいない状況では使えない
本書では、最初のステップを
まずは彼女と軽いあいさつをするところから始めるのがよいと私は思う。
と指南しています。
もちろん、挨拶は人間関係の基本ですし、良いこと。
既に気になる女性がいて、でも仲良くなれていない状況の男性であれば有効です。
ただ、「そもそも気になる女性が周りにいない」という人には、回答がありません。
出会いを見つけるための本ではないことは理解しておきましょう。
3.デートに誘うのが急すぎる
デートへの誘い方についてこう書かれています。
好きな女性と、学校や職場でなんとか日常会話ができるようになったなら、そろそろデートに誘ってみてもよいころである。
ふとすれ違ったときや、たまたま二人だけで廊下にいるときなどに、その偶然を利用して、「おいしいお店を知ってるから、よかったら週末に食べに行かない?」というふうに、単刀直入に声をかけてみるのがよい。
もちろん関係性によって、こう誘ってOKなケースもあるでしょう。
ただ僕の知る限り、「なんとか日常会話ができる→デートの誘い」は、断られる可能性が高い。
そして、オクテな優しい男性がこんな風に声掛けするのって、相当勇気いりませんか?
女性関係に慣れてる人なら別ですが、初級者向けではないと思います。
・どんな日常会話をすればいいの?
・どんなデートプランがいいの?
などへの回答は、深く書かれていません。
僕が思うに、デートに誘う前に、まずは連絡先交換をする方が確実。
連絡先交換をするのも、もっとOKをもらいやすい方法がありますし。
そこから、「なんとか日常会話」ではなく「普通に日常会話」できるくらいまで、親密さをあげた方が良いと思います。
もちろん、そこに何年も時間を使うよりは、さっと誘った方が良い。
ただ、女性の意見を聞いていると「親しくない男性に、急に誘われて困った」という声をよく聞きます。
なので、距離の詰め方について、城咲さんの「今からモテにいくぞ!」のように、もっと詳しい解説があるべきと思いました。
4.すぐにモテるための本ではない
本書では「人間的魅力を伸ばすのが大事」と言っていますが、それには、かなりの時間が必要かもしれないと書いています。
女性たちの中には、人生経験を積んだ、味わい深い男性を好きになる者が、たくさんいる。
すなわち、いま女性にまったくモテなくても、あと10年後には、女性から好意を寄せられる可能性があるということだ。
おそらくこれは、すぐに彼女が出来なくても大丈夫だよ、とエールを送ってくれているのだと思います。
「彼女を作れるまで10年かかるよ」という意味ではありません。
その点を踏まえても、森岡先生のこの本には、早くに効果が出る方法は載っていません。
それでは、今現在「彼女が出来ないのがつらい」と悩んでる人への、適切な対策になりづらい。
もちろん「明日から超モテモテ」になる方法は、この世に存在しません。
でも、「ある程度成長努力をすれば、3か月後には数ランクアップできる」方法はあります。
なので、この本1冊しか読まないのはオススメしません。
評価レビュー
では、詳しい評価もレビューしますね。
内容の分かりやすさ
[star4] 4.0/5.0
哲学を指導されている先生なので、一見難しそうなことが書いてそうですが、ほとんど難しい部分はありません。
専門用語も何も出てこないので、比較的スラスラ読めます。
すごく読みやすいような工夫はされてないようなので、満点は付けていませんが、おおよそ読みやすさは問題なし。
彼女を作りやすい方法か
[star2] 2.0/5.0
これ一冊だけを読んで、彼女を作れるかというと、中々難しい。
上記で書いたように、気になる女性が既に近くにいて、その人と進展できそうな状況であれば十分に可能です。
ただ、そういう状況の人は現実的にあまり多くないと思うので、ここは低めの☆。
ネット恋愛に対応してるか
[star3] 3.0/5.0
直接的には対応していません。
ただ、「女性に対して真面目に優しく接しよう」という姿勢自体は、ネットリアル関係なく大切なので、考え方自体は同じように使えます。
初心者でも再現可能か
[star35] 3.5/5.0
書かれていること自体は、恋愛初心者でも使えるようなものが多く、特別難しい技はありません。
そういう意味では高評価ですが、彼女を作るまでの「トータルの流れ」が足りてない部分があります。
例えば、本来「A→B→C→D→」と進むべきところを、「A→D→」となってるので、書かれてること自体は簡単でも、再現できない。
上記のデートに誘うまでの流れも、「もっと深く説明しないと誤解が生まれそう」と思いましたし。
一般書籍なので、書けるページ数も限られているんだと思います。
なので、参考にはなりますが網羅はできていないかと。
誠実で紳士的なノウハウか
[star45] 4.5/5.0
「誠実さ」という意味では、すごく素晴らしい本だと思います。
随所に、女性に対する丁寧さが伺え、かといって男性に必要以上に無理をしないようにと指南もしています。
若干の減点ポイントは、「紳士的」という部分で、一歩進んだ気遣いが書かれていないこと。
恋愛初心者でも再現可能な一歩進んだ気遣いって、結構あるものです。
これも、ページ数の都合なのか作者の方の意図なのか、あまり多くは見られませんでした。
とはいえ、「誠実さ」をしっかりと学べる良い本です。
総合評価
[star35] 総合評価 ☆3.4/5.0
[star4] 内容の分かりやすさ ☆4.0/5.0
[star2] 彼女を作りやすい方法か ☆2.0/5.0
[star3] ネット恋愛に対応してるか ☆3.0/5.0
[star35] 初心者でも再現可能か ☆3.5/5.0
[star45] 誠実で紳士的か ☆4.5/5.0
終わりに
誠実さや優しさを学べるので、読んで損はありません。
「奥手男性が、女性を不快にさせない考えを学ぶ」という意味では、オススメの1冊。
ただ、これ1冊だけでは、彼女作りについて説明できていない部分の方が多い。
「こうすればもっとモテるようになる」という要素はかなり少なめ。
バランスで言うと、「思想の指南8:行動の指南2」くらいです。
反対に城咲仁さんの「今からモテにいくぞ」は、「行動の指南」の方がはっきり割合が多い。
数千人の女性に接客してきた人が、恋愛初級者が実践しやすい小さな行動をたくさん指南しているので、再現性がすごく高いです。
しかもやり方はいたって誠実。
実践的に、数か月で彼女を作りたいなら、こちらの方がおススメです。